フランス 1860~1870年代
ブール象嵌の希少なレディーテーブル。
目を見張るほどの煌びやかで威厳ある風格。芸術作品アートそのものであることは、目に映る通り。
大変手の込んだつくりの一流のアンティーク家具です。
17世紀、宮殿お抱えの家具職人シャルル・ブール。高名なブール氏が考案した技法は非常に繊細で複雑。
その美しさと技術の高さは誰もが真似できるものではなかったのです。
この技法に魅せられた熱意のある職人によって、きわめて複雑で美しいブール象嵌は長く引き継がれ、たくさんの技術ある職人の元でアートや芸術品と呼べる域のブール象嵌の家具が作られてきました。
18世紀、19世紀と貴族の住まうシャトーの一室を飾る装飾家具としてつくられ続けられてきましたのが今に残るブール象嵌の家具です。本品はその中の一点。
ブラックフレームに真鍮プレート象嵌が時を経ても重厚な雰囲気の輝きを見せております。赤っぽく見えるのは鼈甲。
シックな印象のブラックの本体に真鍮のと鼈甲の象嵌を用いているのはブール象嵌の特徴。
天板のリムには細やかな模様が刻まれた太めの真鍮装飾が施されて。豪華さと高級感ある印象です。
脚のつけのエンジェルの装飾、細くなってゆく足先まで真鍮の装飾は続きます。
ナポレオン3世時代に作られた本品。
サーペンタインのシルエットの天板に、優雅な曲線ラインの脚で華奢な印象。
優雅で軽やかなシルエットでいながらも、ブラックフレームに施される真鍮と鼈甲を用いた高度な技術のブール象嵌により、威厳ある佇まい。
シックな印象のブラックフレームに朱色の鼈甲に時を経た真鍮の輝きの象嵌は、重厚感すら感じます。
レディーテーブルと呼ばれる家具は、女性が裁縫をするために使われた家具。
鍵のかかる、ずっしり重たい天板を開けるとミラーが付いており、仕切りのある空間がございます。
下部には引き出し式のボックスが付いております。このタイプの家具の形の特徴。
本品は、その見えにくい位置にある下部の引き出し式のボックスにも真鍮の装飾が回っております。
細部にまで拘ったつくりを見ても、一般階級の家具では無いこが伺えます。
遥か昔、シャンデリア輝く贅沢な一室。そこを設える装飾家具として、飾られていたのではないでしょうか。。。
パーツが紛失して修復が不可能なものが多い中で出会えた、美しく修復できる可能性の感じた本品。
4か月以上の期間を経て風合いはそのままで、
建付けなどの修復や一部の象嵌部分の再生をいたしました。