本機は動作を確認して問題箇所は整備、調整しました。
本機のモーターは初代SL-1200よりはグレードダウンしましたが後のmk2以降のシリーズ機などのモーターとほぼ同じタイプの物になりました。
そのモーターは軸部を外して古い油をふき取り新たに超潤滑性の特別なオイルを注油しました。
テクニクスのプレーヤーは軸受けの給油が簡単にできるようになっていてプラッターを外すとオイルが置いてあります。
本機には付いていませんでしたが同じ物があったので中身は今回使った特別なオイルと入れ替えてお付けします。
年に一度くらい1~2滴ほど注せばこのハイグレードのモーターはいつまでもお使い頂ける事でしょう。
本体はコンパウンドで磨き特殊なクリーニングワックスで仕上げて汚れは無くとても綺麗です。
本体がダイキャスト製の機種では腐食がよく起こります。本機も本体前面などに腐食と塗装浮きがあります。
ヒンジ部の飾りネジにも錆がありましたがコンパウンドなどで磨きました。
ダストカバーもコンパウンドで磨き、特殊なワックスをかけてとてもクリアーですが僅かに細かい傷はあります。
アタリのクッションゴムは無くなっていたのでも薄ゴムをカットして貼り付けてあります。
接触不良になりやすい電源、速度切り替えスイッチや速度調整ボリュームは信頼できる接点復活剤を用途によって複数使い分けてクリーニング
ガリや接触不良はありません。
出力RCAケーブルは片ch断線していたので定評あるカナレ製の新品と交換しました。純正品より少し太くしっかりしています。
プラグも金メッキされた美しい物です。
劣化しやすいゴムシートや脚部インシュレーターゴムは少し劣化があったのでゴム補修剤とフェルトにて補修、使用には問題ありません。
ゴムシートはクリーニングして保護剤をかけてあります。内部のトランスの防振ゴムやインシュレーターゴムなども保護剤をかけました。
プラッターやアームなどの金属部はコンパウンドや金属磨きクロスで磨いてピカピカです。
アームはいちど取り外して軸部などクリーニングして感度良好です。古くなるとヤニなどが付着して感度は低下します。
軸部をクリーニングすると驚くほど動きは軽くなります。また、アームリフターのグリスも交換してゆっくりとスムーズに降ります。
金属部はパーツごとに丁寧に磨いてとても綺麗です。写真は下手で申し訳ありませんが多めにupしておきました。
この機種はクォーツロックになる前の機種ですので回転が安定しないのではとお気になさる方も居られるかと思いますが
私が多数のプレーヤーを使ったところでは全く問題ないと確信します。
クォーツロックでないと音が変化するとかクォーツの方が音が良いとかはありません。クォーツなら調整がいらないというだけです。
ストロボが安定して止まらないと気にされる方も居られるかと思いますがストロボは電源の50Hzまたは60Hzの明滅を
利用しているので目安にすぎません。実際には電源周波数はその地域の電力使用量によっては微妙に変化するのです。
発電所はその変化をできるだけ少なくする努力はしていますがクォーツ並みにする事はできません。
DCサーボモーターですからプラッターの回転数は電源周波数には影響されません。周波数で変化するのはストロボの明滅周期です。
この変化を回転の変化ととらえて頻繁に回転調整をすればボリュームが痛んでしまいます。
本機などのエントリー機にはあまり興味がなかったのですが実際に整備してみて銘機SL-1200に繋がる素晴らしい機種と気付かされました。
実質SL-1200Jrといったところでしょう。
国内版にあったのかはわかりませんが海外版にはアームレス版もありましたので少しの工夫でアームを交換する事も可能でしょう。
アームレス仕様があったという事はそれだけマニアックな音に拘った機種であった事が伺えます。
テクニクス機はエントリー機種であっても手抜きがなく音に拘って真面目に作られていました。
近年アナログレコードの人気が復活しているようです。
レコード入門の方にもSL-1200に通じる頑丈さからも絶対のお勧めです。あるいはセカンドプレーヤーにも良いでしょう。
現行品ではある程度高額にならないと実に頼りないおもちゃのような物ばかりですね。
オート機構はありませんが多くの現行品も同様ではないでしょうか。少しでも音に拘るならオートは不要です。
現在すでにそれなりのシステムでレコードを聴かれている方にはこんな古いプレーヤーでも本格的な音が出てしまう事に驚かれることでしょう。
テクニクスのレコードプレーヤーならいつも安心して使えます。
ただし、ゴムシートの音質については定評ある製品がまだなかった頃の製品ですのでその後のパイオニアJP-501などに交換をお勧めします。
付属品は上述のカートリッジEPC-271CS、純正のゴムシート、EPアダプター、スピンドルオイルです。
取扱説明書はありませんが海外版のマニュアルのコピーをお付けします。不鮮明な所はあるかと思いますがご了承ください。
画像にはレコードがありますがテスト用なので付属しません。
さらに即決で落札された方には上述のナガオカ製未開封新品交換針、貴重な楕円針をお付けします。
今回の即決特典は私の特にお勧め組み合わせです。新品針がもう1つ付く事で安心してお使いいただけるかと思います。
レコードプレーヤーはオーディオ製品の中では特に繊細でその取り扱いには熟練が必要かと思います。
私は今でもレコードを聴くことがメインで多くのプレーヤーを使用してきました。
やはりオーディオマニアでしたらレコードを聴きましょう。
メカ部分がほとんどのアナログレコードプレーヤーはオーディオ機器の中では本当に特別な物と思います。
リサイクル業者の方などご自身で全くプレーヤーを扱う事のないオーディオとは無関係な方が梱包を行うとプラッター
ゴムシート、アームなどをロクに固定もせず送られてしまい本当に呆れる事が多いです。
いくら細かく説明してもわからないのですね。
また、プレーヤーに限らずコード、ケーブル類を当たり前に束ねてしまいます。これは良くありません。
特に本機のような芯線の細い低容量ケーブルではダメですね。必ず輪っかにしましょう。
私は自分の趣味でプレーヤーなどを扱ってきましたので梱包、発送に関してはお任せください。
プラッター、ゴムシート、カウンターウェイトなどは取り外して同梱します。アームはテープなどで固定して緩衝材も使います。
ただし、段ボール箱や緩衝材はリサイクルを使いますのでご了承ください。また、輸送時にはトランスを固定します。
ご使用前には必ずトランスの輸送用固定ネジを取り外してください。
テクニクスは現在も相変わらず素晴らしいプレーヤーを作り続けています。
ところが他社はどうでしょうか。べらぼうに高額ならそれなりの物は作れるでしょうが、なにか腑に落ちません。
かつての技術が継承されていないのです。
国内では技術が継承され続けているのはテクニクスだけかもしれません。
もちろん進化はし続けているようですが、テクニクスははじめから非常に完成度の高い製品を作っていたようです。
ぜひ、本機をお使いになってその完成度の高さをご確認いただきたいと思います。